データローミングとは何か?仕組みを正しく理解しよう
データローミングとは、自分が契約している日本のキャリア(ドコモ・au・ソフトバンク・ahamo等)のネットワークが届かない海外で、現地の提携キャリアのネットワークを借りてデータ通信を行う仕組みです。スマートフォンの設定で「データローミング」をオンにすることで、海外でもネットに繋がります。
ただし、この「借りる」コストが非常に高くつくことがあります。総務省の調査によると、海外ローミングに関するトラブル相談は毎年一定数寄せられており、その多くが「知らないうちに通信していた」「設定をオンにしたまま忘れていた」というケースです。
データローミングがオンになると何が起きる?
スマートフォンが海外の空港に到着した瞬間、電波を探して現地キャリアに自動接続しようとします。データローミングがオンの状態だと、以下のことが自動的に起こります。
- バックグラウンドアプリが通信を開始:LINEの既読、メールの受信、地図アプリのキャッシュ更新など、画面を開かなくても通信が発生します
- iCloudやGoogle フォトの自動同期:写真や動画が自動でアップロードされ、大量のデータを消費することがあります
- OSのアップデート確認:Wi-Fiがなくてもアップデートのダウンロードが始まるケースがあります
これらが重なると、何も操作していないのに数百MBから数GBのデータが消費されてしまいます。
日本の主要キャリアの海外ローミング料金はいくら?
日本の主要キャリアで海外ローミングを使った場合の料金は、キャリアや渡航先によって大きく異なります。2026年時点の主な料金をまとめると、ドコモ・auは24時間定額で980円〜、ソフトバンクは最大2,980円/日、ahamoは月20GBまで追加料金なし(ただし15日間上限)という構造です。
| キャリア | プラン名 | 料金 | 対応国 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ドコモ | 海外パケットパック | 980円〜/24時間 | 35カ国以上 | 対象国以外は別料金 |
| au | 海外データ定額 | 980円〜/24時間 | 40カ国以上 | 上限あり、超過は高額 |
| ソフトバンク | 海外パケットし放題 | 最大2,980円/日 | 主要渡航先 | 上限まで自動課金 |
| ahamo | 海外データ通信 | 追加料金なし(20GB) | 82カ国以上 | 15日超過で速度制限 |
| 楽天モバイル | 海外ローミング | 2GB/月無料(超過220円/GB) | 70カ国以上 | 月2GBまで無料 |
たとえば、ハワイに7泊8日でドコモの海外パケットパックを使うと、最低でも7,840円(980円×8日)かかります。同じ旅行をeSIMでカバーすれば、タビシムの場合さらに安くなることがほとんどです。
ahamoユーザーは本当にお得?注意点を正直に解説
ahamoは海外82カ国以上で追加料金なしの20GBが使えるため、短期旅行者には非常に魅力的です。ただし、いくつかの落とし穴があります。
- 15日間の上限:15日を超えると速度が大幅に制限されます(通常128kbps程度)。2週間以上の旅行には向きません
- ahamo契約が前提:ドコモの通常プランやソフトバンク・auユーザーは利用できません
- 通話は別途料金:データ通信のみ無料で、音声通話は別料金です
ahamoユーザーが15日以内の旅行をするなら、追加設定なしで20GBを使えるのは確かに強みです。ただし、長期旅行や大容量通信が必要な場合は、eSIMとの組み合わせを検討する価値があります。
データローミングをオンにしたまま放置するとどうなる?実際のリスク
データローミングをオンにしたまま渡航すると、最悪のケースで数万円の請求が届きます。特に危険なのは、「少しだけ使うつもりだった」という状況です。
総務省が公表している「電気通信サービスに関する消費生活相談」の統計では、海外ローミングに関連したトラブルが毎年数百件規模で報告されています(総務省 電気通信消費者情報)。実際に起きやすいトラブルのパターンは以下の通りです。
よくある高額請求のパターン
パターン①:動画の自動再生 空港でInstagramやYouTubeを少し見ただけで、自動再生が連鎖して数GBを消費。1GBあたりの従量課金が適用されると、一瞬で数千円が飛びます。
パターン②:バックグラウンド同期 スマホをポケットに入れたまま観光していたら、Google フォトが旅行写真を全てアップロード。気づいたら5GB消費していた、というケースは珍しくありません。
パターン③:キャリア対象外の国への渡航 定額プランの対象国と思って使っていたら、実は対象外だった。この場合、1MBあたりの従量課金が適用され、驚くほどの請求額になることがあります。
高額請求を防ぐための必須設定5つ
高額請求を防ぐには、渡航前にスマートフォンの設定を正しく行うことが最も重要です。以下の5つの設定を出発前に必ず確認してください。特にiPhoneとAndroidでは操作手順が異なるため、自分のデバイスに合わせて確認しましょう。
設定①:データローミングをオフにする(基本中の基本)
iPhone:設定 → モバイル通信 → 通信のオプション → データローミング をオフ
Android(Google Pixel等):設定 → ネットワークとインターネット → モバイルネットワーク → ローミング をオフ
これが最も基本的な設定です。eSIMや現地SIMを別途用意する場合は、日本のキャリアSIMのデータローミングはオフにしておきましょう。
設定②:モバイルデータ通信自体をオフにする
データローミングをオフにしても、Wi-Fi環境で自動的にデータが流れることがあります。より確実に通信を遮断したい場合は、モバイルデータ通信自体をオフにするのが安全です。
iPhone:設定 → モバイル通信 → モバイルデータ通信 をオフ
Android:設定 → ネットワークとインターネット → モバイルネットワーク → モバイルデータ をオフ
設定③:アプリのバックグラウンド更新をオフにする
データローミングをオフにしても、Wi-Fiに繋いだ瞬間に大量の同期が始まることがあります。特に写真・動画の自動アップロードは要注意です。
iPhone:設定 → 一般 → Appのバックグラウンド更新 → Wi-FiとモバイルデータをWi-Fiのみに変更、または完全にオフ
Android:設定 → アプリ → 各アプリのバックグラウンドデータ制限
設定④:iCloud・Googleフォトの自動同期をオフにする
旅行写真が自動でアップロードされると、帰国後に日本のキャリアのデータ上限を超えることもあります。海外ではWi-Fi接続時のみ同期する設定に変えておきましょう。
iCloud写真(iPhone):設定 → [自分の名前] → iCloud → 写真 → モバイルデータ通信を使用 をオフ
Googleフォト(Android):Googleフォトアプリ → プロフィール → フォトの設定 → バックアップ → モバイルデータ使用量 → オフ
設定⑤:データ使用量の上限アラートを設定する
万が一ローミングを使う場合でも、データ使用量に上限アラートを設定しておけば、想定外の消費を早期に検知できます。
iPhone:設定 → モバイル通信 → 通信量の確認(アプリごとの使用量が確認できます)
Android:設定 → ネットワークとインターネット → データ使用量 → データ警告と制限 → 上限を設定
eSIMを使えばデータローミングの心配は不要になる?
eSIMを使えば、日本のキャリアのデータローミングを一切使わずに海外でネット接続できます。仕組みとしては、渡航先の現地ネットワークに直接接続するeSIMプランを事前に購入・インストールしておき、現地到着後にそのeSIMをアクティブにするだけです。
eSIMとは何か、基本的な仕組みを知りたい方はこちらをご覧ください。
eSIMとデータローミングの違い
| 比較項目 | データローミング(キャリア) | eSIM(タビシム等) |
|---|---|---|
| 料金 | 980円〜2,980円/日 | 旅行期間・容量に応じた定額 |
| 設定の手間 | ほぼ不要 | 事前にQRコードでインストール |
| 日本の番号 | 維持できる | デュアルSIMで維持可能 |
| 長期旅行 | 費用が青天井 | 大容量プランで安心 |
| 対応デバイス | すべてのスマホ | eSIM対応機種のみ |
| 速度制限 | キャリアによる | プランによる |
eSIMとデータローミングの詳しい比較はこちらで解説しています。
eSIMのデュアルSIM活用で日本の番号も維持できる
eSIMの大きなメリットのひとつが、デュアルSIM機能です。iPhoneやGoogle Pixelなど多くのeSIM対応スマートフォンでは、物理SIM(日本のキャリア)とeSIM(海外用データ通信)を同時に使えます。
これにより:
- 日本の電話番号でLINEやSMSを受け取れる
- 海外のデータ通信はeSIMを使うため、ローミング料金は発生しない
- 帰国後もeSIMをそのまま残しておける(次回旅行で再利用可能なプランも)
eSIM対応スマートフォンの一覧はこちらで確認できます。
キャリア別・渡航先別の高額請求リスクはどのくらい?
渡航先によってローミング料金は大きく変わります。EUなど規制がある地域は比較的安いですが、規制のない地域では従量課金が適用されるケースもあります。
欧州委員会のローミング規制(EU Roaming Regulation)によると、EU域内では2022年以降もローミング料金の上限規制が継続されており、EU加入キャリアは国内料金と同一料金でローミングを提供することが義務付けられています。ただし、これはEU加入キャリアのユーザー間の話であり、日本のキャリアから欧州にローミングする場合は別途料金が発生します。
渡航先別・ローミングリスクの目安
| 渡航先 | ローミングリスク | おすすめ対策 |
|---|---|---|
| ハワイ・グアム | 中(定額プラン対象が多い) | キャリア定額 or eSIM |
| 韓国・台湾 | 低〜中(比較的安い) | eSIM(短期なら安価) |
| ヨーロッパ | 中(国によって異なる) | eSIM(広域プランが便利) |
| 東南アジア | 中〜高(国によって大差) | eSIM(現地SIMも選択肢) |
| 中東・アフリカ | 高(定額対象外が多い) | eSIM必須 |
| 北米(米国・カナダ) | 中(定額プランあり) | eSIM or キャリア定額 |
海外旅行のデータ通信手段を徹底比較した記事はこちらもあわせてご覧ください。
渡航前のスマホ設定チェックリスト
出発前に以下のチェックリストを確認することで、高額請求のリスクをほぼゼロにできます。5分もあれば完了する作業ですが、やるかやらないかで帰国後の請求額が数万円変わることもあります。
渡航前日までに確認すること
- データローミングをオフにしたか
- モバイルデータ通信の設定を確認したか
- iCloud・Googleフォトの自動同期をWi-Fiのみに変更したか
- アプリのバックグラウンド更新を制限したか
- eSIMまたは現地SIMを準備したか
- eSIMをインストール・アクティベーション済みか(事前設定が必要なプランの場合)
- データ使用量アラートを設定したか
現地到着後に確認すること
- 日本のキャリアSIMのデータローミングがオフになっているか
- eSIM(または現地SIM)が正しく接続されているか
- 意図しないアプリが通信していないか
海外旅行前のスマホ設定完全チェックリストも参考にしてください。
eSIMの設定方法:出発前に5分で完了する手順
eSIMの設定は、QRコードを読み取るだけで完了します。難しい操作は一切なく、スマートフォンに慣れていない方でも問題ありません。以下の手順で進めてください。
iPhoneでのeSIM設定手順
- タビシムでeSIMプランを購入
- 届いたQRコードをiPhoneのカメラで読み取る
- 設定 → モバイル通信 → eSIMを追加 → QRコードを使用
- 画面の指示に従って設定を完了
- 渡航先でeSIMをアクティブにする(プランによっては現地到着後に自動接続)
AndroidでのeSIM設定手順
機種によって若干異なりますが、基本的な流れは同じです。
- タビシムでeSIMプランを購入
- 設定 → ネットワークとインターネット → SIM → SIMを追加
- QRコードをスキャン
- 画面の指示に従って設定を完了
eSIMの設定方法の詳細ガイドはこちらで機種別に解説しています。
データ使用量を節約するための現地での工夫
eSIMや現地SIMを使っていても、データを節約できれば旅行中のコストをさらに下げられます。以下の工夫を取り入れてみてください。
オフラインマップを事前にダウンロードする
Google マップは、渡航前にWi-Fi環境で目的地エリアのオフラインマップをダウンロードしておくと、現地でのデータ消費を大幅に削減できます。Googleマップアプリ → 目的地を検索 → 右下の「…」→「オフラインマップをダウンロード」で保存できます。
動画・音楽の自動再生をオフにする
YouTubeやNetflixの自動再生設定をオフにするだけで、意図しない大量消費を防げます。また、SpotifyやApple Musicは事前にプレイリストをダウンロードしておけばオフラインで再生できます。
ホテルのWi-Fiを積極的に活用する
大容量のファイル送受信や動画視聴は、ホテルのWi-Fi接続時に行うようにしましょう。ただし、セキュリティが不安なホテルWi-Fiでは、VPNの使用を検討してください。
海外でのデータ通信量の節約方法についてはこちらでも詳しく解説しています。
FAQ
データローミングをオフにしても通話はできますか?
データローミングをオフにしても、音声通話は別の仕組みで動作するため、基本的には通話できます。ただし、日本のキャリアの海外通話料金は非常に高額になる場合があります。LINEやWhatsAppなどのアプリ通話を使う場合は、データ通信(eSIMや現地Wi-Fi)が必要です。
飛行機に乗っている間もデータローミングの料金は発生しますか?
機内モードをオンにしていれば料金は発生しません。機内モードにせずデータローミングがオンの状態で、機内Wi-Fiに接続した場合は、機内Wi-Fiの料金が発生します。フライト中は必ず機内モードをオンにすることをおすすめします。
データローミングをオンにしたまま海外に着いてしまいました。すでに料金が発生していますか?
空港に到着した時点でスマートフォンが現地ネットワークに接続し、バックグラウンド通信が発生している可能性があります。すぐにデータローミングをオフにし、キャリアのアプリやウェブサイトでデータ使用量を確認してください。短時間であれば被害は最小限に抑えられることがほとんどです。
eSIMを使えばデータローミングの設定は不要ですか?
eSIMを使う場合でも、日本のキャリアSIM(物理SIM)のデータローミングはオフにしておく必要があります。eSIMで海外データ通信を行い、物理SIMは日本の電話番号の維持のみに使うという設定が、最も安全で経済的な使い方です。
ahamoの20GBを超えたらどうなりますか?
ahamoの海外データ通信は月20GBまで追加料金なしで使えますが、超過後は通信速度が大幅に制限されます(約128kbps)。この速度ではウェブ閲覧や地図アプリの使用が非常に困難になります。長期旅行や大容量通信が必要な場合は、eSIMとの併用を検討してください。
eSIM対応のスマートフォンかどうかはどうやって確認できますか?
iPhone XS以降のiPhone、Google Pixel 3以降、Samsung Galaxy S20以降など、多くの近年発売されたスマートフォンがeSIMに対応しています。設定アプリで「eSIM」や「デジタルSIM」という項目があれば対応しています。機種別の詳細な対応状況はeSIM対応機種一覧で確認できます。
海外でデータを使い切ったらどうなりますか?
eSIMプランによって異なりますが、多くの場合は通信が停止するか、低速モードに切り替わります。タビシムのプランはデータを使い切っても追加課金は発生しません。必要であれば追加のデータプランを購入することができます。
WiFiレンタルとeSIMはどちらがおすすめですか?
eSIMの方が利便性の面で優れています。WiFiレンタルは受け取り・返却の手間があり、バッテリーの管理も必要です。eSIMはスマートフォンに直接インストールするため、荷物も増えず、バッテリーを気にする必要もありません。料金も同等かeSIMの方が安いケースが多いです。海外旅行のデータ通信手段の徹底比較も参考にしてください。






