中国旅行のネット事情、eSIMさえ入れれば大丈夫?
中国への旅行を控えて「eSIMを準備しておけば安心」と思っている方、少し待ってください。中国のネット環境は他の国と根本的に違います。eSIMでデータ通信ができても、普段使っているアプリの多くが「グレートファイアウォール(防火長城)」によってブロックされているからです。
中国政府が運用するこのインターネット検閲システムは、世界最大規模とされています。Freedom House の2024年レポートによれば、中国は10年連続でインターネット自由度が世界最低水準と評価されており、遮断対象サービスは3,000件以上にのぼります。
つまり、eSIMで快適にネットに繋がれても、「繋がれるのに使えない」という状況が生まれます。この記事では、中国旅行でeSIMを使う前に知っておくべき5つの注意点と、それぞれの対策法を具体的に解説します。
旅行者が知っておくべき重要な事実: 日本から中国本土に入ると、Google検索・Googleマップ・LINE・Instagram・WhatsApp・YouTube・Facebook・Twitterなどは、VPNなしでは一切使えません。
注意点①:Google・LINEなど主要アプリが使えない
中国本土では、日本人旅行者が日常的に使うアプリの大半がブロックされています。eSIMで4G/5Gに繋がっていても、これらのアプリはアクセス不能です。出発前に代替手段を用意しておくことが、現地で困らないための最重要ポイントです。
中国で使えない主なサービス一覧
| カテゴリ | 使えないサービス | 中国での代替サービス |
|---|---|---|
| 検索 | Baidu(百度) | |
| 地図 | Googleマップ | Baidu Maps、Gaode Maps(高德) |
| メッセージ | LINE、WhatsApp | WeChat(微信) |
| SNS | Instagram、Facebook、X(旧Twitter) | Weibo(微博) |
| 動画 | YouTube | Bilibili、優酷 |
| メール | Gmail(一部制限) | 国際メールは概ね利用可 |
| 翻訳 | Google翻訳 | Microsoft翻訳(部分的に利用可) |
| クラウド | Google Drive | 利用不可 |
LINEについては別途注意が必要です。 eSIMを使っている場合でも、中国本土ではLINEの通話・メッセージ機能が制限されます。eSIM使用時のLINE利用制限と対策の記事でも詳しく解説していますが、家族や友人との連絡手段として、WeChatを事前にインストールしておくことを強くおすすめします。
出発前にやること
- WeChat(微信)をインストールして日本でアカウント作成 — 中国では電話番号認証が必要なため、日本にいる間に完了させておく
- オフライン地図をダウンロード — Maps.meやApple マップのオフラインデータ(Googleマップ不可)
- Microsoft翻訳をダウンロード — 中国語の翻訳はGoogleより安定して動作
注意点②:VPNは中国入国前にインストールが必須
VPN(仮想プライベートネットワーク)を使えば、グレートファイアウォールを回避してGoogle・LINEなどを利用できます。ただし、中国国内でVPNをダウンロードすることは極めて困難です。App StoreやGoogle Playからも、中国国内ではVPNアプリが削除されているため、必ず日本出発前にインストールを済ませてください。
VPNに関する重要な注意事項
VPNの使用については、法的・倫理的な側面を理解した上で判断してください。
- 中国では政府が認可していないVPNの使用は法律上グレーゾーンとされています
- 外国人旅行者が摘発されたケースは極めて稀ですが、リスクがゼロではありません
- 中国当局は定期的にVPNをブロックしており、繋がらない期間が発生することもあります
- 特に政治的に敏感な時期(党大会・記念日など)は規制が強化される傾向があります
VPN選びのポイント
中国での利用実績があるVPNを選ぶことが重要です。無料VPNはほぼ機能しないと考えてください。有料の信頼できるサービスを日本で契約・インストールしてから渡航しましょう。
注意点③:eSIMのデータ通信は中国本土でも普通に使える
良いニュースもあります。eSIM自体のデータ通信機能は、中国本土でも問題なく使えます。ローミングeSIMは現地の通信ネットワーク(中国移動・中国聯通・中国電信など)に接続して4G/5G通信を提供します。「eSIMが使えない」のではなく「eSIMで繋がっても特定のサービスにアクセスできない」という点を混同しないようにしましょう。
中国でeSIMが使える理由
中国のeSIMは、ローミング回線を通じて国際的なデータ通信を提供します。グレートファイアウォールはインターネットのコンテンツをフィルタリングするシステムであり、通信回線そのものを遮断するものではありません。つまり:
- eSIM → 通信ネットワーク接続 → ✅ 可能
- eSIM → Google・LINE・Instagram → ❌ ブロック(VPNなしの場合)
中国のeSIM詳細プランはこちらで確認できます。
キャリアローミングとeSIMの料金比較(2026年7月時点)
| 手段 | 料金目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ドコモ 海外パケ・ホーダイ | ¥980/日(上限あり) | 7日間で約¥6,860 |
| au 海外データ定額 | ¥980/日 | 対象国限定 |
| ソフトバンク 海外パケットし放題 | 最大¥2,980/日 | 7日間で最大¥20,860 |
| ahamo 海外データ通信 | 20GBまで無料(15日間) | ahamo契約者のみ |
| タビシム eSIM(中国) | プランにより異なる | 到着即接続、日本語サポート |
ahamoユーザーへの注意点: ahamoの海外データ無料特典は中国本土でも適用されますが、15日を超える滞在や20GBを超える利用には対応できません。また、ahamoはドコモ回線を使うため、中国でのグレートファイアウォールの影響は同様に受けます。
注意点④:香港・マカオは中国本土と別のネット環境
「中国」と一括りにしがちですが、香港・マカオは中国本土とは別のインターネット環境です。「一国二制度」のもと、香港・マカオではグレートファイアウォールは適用されておらず、Google・LINE・Instagramなども自由に使えます。
ただし、2020年以降の香港国家安全維持法施行以降、香港でも一部コンテンツへのアクセス規制が強化されつつあるという報告があります。Reuters(2020年)などのメディアも状況の変化を報じており、最新情報を確認することをおすすめします。
渡航先ごとのネット自由度まとめ
| 渡航先 | グレートファイアウォール | LINE | VPN必要性 | |
|---|---|---|---|---|
| 中国本土 | あり | ❌ | ❌ | 必要 |
| 香港 | なし(一部変化あり) | ✅ | ✅ | 不要 |
| マカオ | なし | ✅ | ✅ | 不要 |
| 台湾 | なし | ✅ | ✅ | 不要 |
香港のeSIM情報はこちら、マカオのeSIM情報はこちらでも詳しく確認できます。台湾旅行を検討している方は台湾のeSIM情報もご覧ください。
注意点⑤:SIMカードより先にeSIMを設定しておくべき理由
中国到着後に現地SIMを購入しようとすると、思わぬ手間がかかります。中国ではSIMカードの購入にパスポートの提出と顔認証が必要で、空港や街中のショップで手続きに時間がかかることがあります。eSIMなら日本にいる間に購入・設定を完了できるため、飛行機を降りた瞬間から使えます。
eSIMの設定は日本出発前に完了させよう
eSIM設定ガイドでも詳しく解説していますが、中国旅行では特に事前設定が重要です。なぜなら:
- 空港WiFiに頼れない — 中国の空港WiFiはグレートファイアウォールの影響を受けます
- 現地SIMの購入は時間がかかる — 外国人向けの手続きが複雑
- 日本の番号を維持できる — デュアルSIM機能で日本の電話番号もそのまま使える
- 到着直後から地図・翻訳が使える — 事前準備したオフラインツールと組み合わせて活用
eSIM対応スマートフォンの確認
eSIM対応機種一覧で自分のスマートフォンが対応しているか確認しておきましょう。iPhone XS以降、Galaxy S21以降、Pixel 3以降など、2019年以降の主要モデルはほぼ対応しています。
中国旅行の通信手段を総まとめ:何が一番おすすめ?
中国旅行での通信手段は、旅行期間・予算・使いたいサービスによって最適解が変わります。短期旅行ならキャリアローミングも選択肢ですが、コスト面ではeSIMが優位です。最も重要なのは、通信手段に関わらずVPNの事前準備とWeChatアカウントの作成を忘れないことです。
旅行スタイル別おすすめ
| 旅行スタイル | おすすめ手段 | 理由 |
|---|---|---|
| 1〜3日の出張 | キャリアローミング or ahamo | 手間が少ない |
| 4〜7日の観光旅行 | eSIM(タビシム等)+ VPN | コスパが良い |
| 2週間以上の長期旅行 | eSIM + 現地SIM併用も検討 | 大容量データが必要 |
| 家族旅行 | 人数分のeSIM | 1人ずつ独立した回線が安心 |
| バックパッカー | eSIM + VPN + WeChat | 最もフレキシブル |
eSIMを初めて使う方は、海外旅行でeSIMを初めて使う完全ガイドも参考にしてください。
中国旅行前の最終チェックリスト
出発の1週間前までに以下を完了させておくと安心です。
通信の準備
- eSIMを購入・インストール(タビシムまたは他サービス)
- eSIM設定をWiFi環境下で完了
- デュアルSIM設定の確認(日本番号 + eSIMデータ)
アプリの準備
- VPNアプリをインストール(有料の信頼できるもの)
- WeChatをインストール&アカウント作成
- Microsoft翻訳をインストール&中国語オフラインデータをDL
- Maps.meまたはAppleマップのオフライン地図をDL
- 行き先周辺の地図を事前にスクリーンショット保存
決済の準備
- Alipay(支付宝)またはWeChat Payを設定 — 中国では現金よりQRコード決済が主流
- 国際クレジットカードの確認(Visa/Mastercardは一部店舗で利用可)
FAQ
中国でLINEは本当に使えないのですか?
はい、中国本土ではLINEはグレートファイアウォールによってブロックされており、通常の状態では使えません。VPNを使えば接続できる場合がありますが、VPNの接続が不安定な場合もあります。日本の家族・友人との連絡はWeChatを使うのが最も確実です。
eSIMを中国で使うと速度はどのくらい出ますか?
ローミングeSIMは現地の4G/5Gネットワークに接続するため、通常は10〜50Mbps程度の速度が期待できます。ただし、混雑した観光地や地下鉄内では速度が低下することがあります。VPNを使用する場合は、VPNのオーバーヘッドにより速度が20〜40%程度低下することが一般的です。
中国でVPNは違法ですか?
中国では政府が認可していないVPNの使用は法律上グレーゾーンとされています。外国人旅行者がVPN使用で摘発されたケースは極めて稀ですが、リスクがゼロではありません。利用する場合は自己責任で判断してください。
香港経由で中国本土に入る場合、eSIMはそのまま使えますか?
はい、香港から中国本土に移動してもeSIMのデータ通信自体は継続して使えます。ただし、香港ではGoogleなどが使えていたのに、中国本土に入ると突然使えなくなるため、国境を越える前にVPNを起動しておくことをおすすめします。
中国旅行中にデータを使い切ったらどうなりますか?
タビシムを含む多くのeSIMサービスでは、データを使い切ると通信が停止します(速度制限ではなく完全停止)。追加データプランを購入するか、ホテルのWiFiを利用してください。長期旅行の場合は余裕を持ったデータ量のプランを選ぶことをおすすめします。
WeChat(微信)は日本のスマートフォンでも使えますか?
はい、WeChatはApp Store・Google Playから日本でダウンロードできます。ただし、アカウント作成時に電話番号認証が必要なため、日本にいる間に登録を完了させておくことが重要です。中国に着いてからアカウントを作ろうとすると、SMS認証が届かないケースがあります。
中国旅行でeSIMとWiFiルーターレンタル、どちらがいいですか?
eSIMの方が利便性が高いです。WiFiルーターは充電が必要で、複数人で共有する場合に便利ですが、バッテリー切れのリスクや持ち運びの手間があります。eSIMはスマートフォンに直接設定するため、充電管理が1台で済み、空港での受け取り・返却も不要です。1人旅や少人数旅行ではeSIMが圧倒的に便利です。
中国旅行のeSIMはいつ購入・設定するのがベストですか?
出発の2〜3日前までに購入・設定を完了させておくのがベストです。eSIMのインストールにはWiFi環境が必要なため、日本にいる間に済ませておきましょう。設定後すぐに使い始める必要はなく、現地に着いてから「データローミングをオン」にするだけで使えます。eSIM設定ガイドに詳しい手順があります。
まとめ:中国旅行の通信準備は「2段階」で考えよう
中国旅行の通信準備は、他の国とは違う「2段階」のアプローチが必要です。
第1段階:データ通信の確保(eSIMやローミング) 第2段階:アクセス制限への対策(VPN・WeChat・オフラインツール)
eSIMは到着直後から使えるデータ通信を提供してくれる優秀なツールですが、中国ではそれだけでは不十分です。VPNの事前インストールとWeChatアカウントの作成を必ずセットで準備してください。
GW・春休みの海外旅行準備チェックリストも参考に、出発前の準備を万全にして、快適な中国旅行を楽しんでください。
料金は2026年7月時点のものです。各キャリアの料金は変動する場合があります。最新情報は各キャリアの公式サイトでご確認ください。






